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第7章 男の娘(おとこのこ) ―倒錯、或いは迷走―
いつもそうだ。そうやって、へんな好感を相手に抱かせてしまうのは俺の悪い癖だった。
それにまんまと引っ掛かった人間が約一名。
「トモちゃんって本当に優しいんだね。あの浮気な兄貴が夢中になるくらいだから、どんな人かと思っていたけど。でも…、トモちゃんは兄貴のことどう思っているわけ?」
(ほら、”いい人”ぶるから優しくもないのに、”優しい”なんて言われてしまうじゃないか…)
自分に鋭く突っ込まれる。どうして、もっと有りの儘の自分を晒すことが出来ないのだろうか…
簡単に結論出来るくらいなら、とっくの昔に性格変わってるだろ!
そんな内面の矛盾にはひとまず目を瞑って、俺の返事を待っている亨に答える。
「…思うも何も…別にヤツと俺とは何でもないンだから。同じ大学だけど学部も違うし、学校じゃ殆ど顔会わたことない。だから、ただのバイト仲間ってだけで、それ上でもそれ以下でも無いよ」