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第7章 男の娘(おとこのこ) ―倒錯、或いは迷走―

亨は、さっきと同じように俺の直ぐ傍に立つと、俺を見詰めて小さく呟いた。

「トモちゃん、…ゴメン。驚いた…よね」

「…んなこと、わかってるなら、するなよ！」

キツイ口調で冷たく言い放った俺に、亨の肩がビクリと震えたのがわかる。

けど、それ以上相手を思いやることなど出来なかった。今の俺には、自分のことを考えるだけで精一杯。亨の大きな瞳に見る見るうちに涙が溢れてくる。

（…えっ…これって、俺が泣かせたわけ？）

女の子を泣かせたのなら、次にすべき対応は何も言わずに抱き締めること。だけど…相手は男だ。しかも、泣きたいのは自分の方なのに…

目の前で繰り返される嗚咽に、”全部俺が悪いんだよ！もうどうにでもしてくれ”という気持ちになった。