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第7章 男の娘(おとこのこ) ―倒錯、或いは迷走―
仕方なく、俺は身体を起こすと亨の腰をそっと引き寄せる。そのまま、自分の胸に抱き竦めて優しく髪を撫でた。こう見えても、俺は女子に人気があったのだ。
もっとも、女子は学年に(というか校内に)数えるほどしか居なかったけど。
それは、置いといて…
泣いてる女の子の話を聞いたことの、一度や二度くらいは経験済みだ。
指先をクルリと巻いた髪がすり抜ける。シャンプーの甘い微香が鼻を擽る。俺の好きな匂いだった。亨の髪を撫でる内に、俺のささくれ立った心も落ち着いていく。
二人とも俺のこと心配して動いてくれたのに、ちゃんとお礼も言ってなかった…
一番身勝手だったのは、自分なんじゃないか…、そう考えたら、自分の存在が余りにたわいなくて、一々憤っていた自分が愚かに思えてきた。
どうでも良いことにムキになってたガキな自分。