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第7章 男の娘(おとこのこ) ―倒錯、或いは迷走―
漸く俺の胸から顔を上げた亨の澄んだ瞳が俺を射抜く。だが、どう考えても、俺には相手が喜ぶようなことを言ってやることは出来なかった。
「…ゴメン…」
そう言うのがやっと。
それ以上何も言えずに、亨の躯を抱き締める。
また、泣かれるんじゃないかと内心ではビクビクものだったけど。
だけど、相手は思った以上に大人だった。
「トモちゃん、優しいんだね。兄貴が好きになるのが良くわかるよ」
躯をそっと離すと俺を見詰めてニッコリ微笑む。続いて、柔らかい唇で俺の頬に甘いキスを落とした。
それは、いつかの初恋に似た香りがした。