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ファニーキンキー
第10章 それは同日


夏が来る前に連日続く曇り空の昼休み、中庭のベンチで携帯音楽プレイヤーからイヤホン半分こで音楽を聴きながら翔太郎とまったりしていた。

「この転調するとこ、すっげーいいよな?」

翔太郎オススメのバンドの曲なんで、あたくし初めて聴いてるんですけど?もうちょっと聴き込ませてくれないと…うん、でも悪くない。


ふたりで居る時の翔太郎は、常にあたしに触れるようになった。
あからさまにではなく、ほんのちょっと何処かに指をあてる風に。

ベンチの背もたれに伸ばされた手が、今も背中にあたってる。
時折、小さくさすったりして、あたしが欲情していないかどうかを確認してるのかな?

翔太郎が醜態を晒さなくても、あたしがヘンタイ妄想をしただけでほんのちょびっと感じることが出来ると覚えたようで、チャンスをうかがってるんじゃないかと思う。

だけどさぁ……

24時間ヘンタイなことばっかり考えてないって!こんなところで欲情しちゃったらどーすんのよ?

「も1回聴かせて?」

「おけ」

携帯音楽プレイヤーを操作すると、同じ曲が頭から流れ始めた。


「ちょっと、いいか?」

身長195センチ、同じクラスでバスケ部の伊井が声を掛けてきた。

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