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ファニーキンキー
第13章 それは結実
「あたしの愛情足りてる?」
やっと涙も止まって、バイトの時間も押し迫ってきたため、再びふたりで歩き出した。
「まぁまぁかな。足りてるっちゃー足りてるし、足りて無いっちゃー足りて無い」
「どっちよ?」
「なら、ふたりで歩く時はこうして手繋いでくれる?」
通行人に見せびらかすように、繋いだ手を高く上げる。
「うー………うん」
「俺はこうしてくれるだけで充分だよ。まるっきり出来ないわけじゃない。俺が寧奈を笑わせればいーんだから。それにさ、寧奈だからいいんだ。この間誘われた時、そーいう気が全然起きなくて…俺も変わったなーって自分で思ったぞ。ハハっ」
「足りなくなったら遠慮なく言ってください、サービスしますんで」
「サービスってなんだよ、アハハっ。あー、今日はいい日だ。寧奈に束縛されて。束縛記念日だな」
「束縛なんかしてないもん」
「いーや、してる。あれは束縛心だろ」
「違うもん」
なんて、お互い一歩も譲らず、バイト先のCDショップまで言い合いは続いた。
またひとつ、ふたりの実が育ったでした。