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ファニーキンキー
第3章 それは悪戯


しばらく昼休みのプール通いが続いた。

言わなくてもちゃんと生クリームの入った方のクリームパンを買ってくるようになったし、おまえじゃなくて寧奈って呼ぶようにもなった。

今日は、趣向を変えて、

「カレーパンとコーヒー牛乳買ってきて」

500円玉を渡しながらお願いというか命令というか…

「ん?あぁ、わかった」

相変わらずクールキャラな翔太郎はそっけない返事で教室を出て行く。

あたしは恵衣子と椎ちゃんに外で食べてくると告げて、

「行ってきまーす」

笑顔で手をひらひらさせて出口に向かって歩き出す。
ところが購買に行ったはずの翔太郎がすぐに戻ってきた。

「寧奈っ!」

ありゃ、カレーパンに気がついちゃった?

半分くらいに人は減ったとはいえ昼休みで賑やかだった教室が静まり返る。

いつもクールな翔太郎が焦った様子で大声を出したもんだから、喧嘩でも始まるんじゃないかと、心配心と興味本位で注目が集まった。

翔太郎は周りの状況が見えてないらしく、まっすぐあたしのところに来て両手を取って握りしめ、

「カレーパンは……ダメ」

せつなそうに首を小さく横に振った。


ぷっーーーーー!なにこの仕草っ!可愛い過ぎるっ!

「カレーパン?」
「どしたんだ?」
「今の翔太郎?」


クラスメイトのザワつきを背に、翔太郎をなだめながら購買に向かった。

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