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ファニーキンキー
第4章 それは弁当


あたしと対面する様にステージに両手をついた翔太郎が、顔を寄せ長い前髪の奥から視線を合わせてくる。

「なぁ、今の試合見ててくれた?」

隣で椎ちゃんが“睨んでる…Sキャラ…”とかってつぶやいている。

「見てなかった」

半笑いで返しながら、顔に流れる汗も拭いてやる。タオルを顔面に押し付けて、長い前髪も一緒に拭き上げると、頭を振って乱れた前髪を元に戻す。

「ひでぇな…俺、寧奈の出てる試合ほとんど見たんだぜ?」

え?ぜんぜん気付いてなかった…そうだったんだ…あたしのこと見てくれてたんだ…ちょっと嬉しい。

「あー、午前中の試合なら見たよ?かっこよくて見惚れちゃった。クスっ」

あたしが目を細め翔太郎の瞳をじっと見つめると、口元を緩め顔を背けた。

照れてる。クスっ、可愛い…

ボッって音がしたような気がして隣を見ると椎ちゃんが顔を真っ赤にしてモジモジしていた。

「表彰式あるから校庭に行こっ」

顔を赤くしたふたりを両脇に携えて体育館を後にした。


翔太郎のジャージを小さく引っ張りこっそりと尋ねてみる。

「おにぎり美味しかった?」

「ああ、また作ってくれよな」

あたしは昼抜きになっちゃったけど、クールな翔太郎の可愛い姿が見れたから良かったかな。

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