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ファニーキンキー
第5章 それは結局
バスケ部の部室に行くと言う翔太郎を見送りひとり教室に戻ると、恵衣子と椎ちゃんが肩を寄せ合いキャッキャっと声をあげて騒いでいた。
先に椎ちゃんの書いたポエムを見ているらしい。
「あたしにも見せてー!」
好奇に目を輝かせ、コロッケパンのラップをむしり取りながら駆け寄る。
「ふふふっ。はいどうぞ」
目の前に差し出されたケント紙には、手を繋いで楽しげに向き合う男の子と女の子を背後から捉えた構図のイラストが少女漫画風に描かれ、カラーペンで淡く着色されている。
女の子は椎ちゃんそっくりで。
“これからもずーっと一緒だよ”
かわいい文字で添えられていた。
「わぁ…」
一瞬にしてイラストの世界に引き込まれる。
やわらかな色彩の中で、幸せそうな笑顔で見つめ合うふたりから愛が溢れていた。
胸が苦しくなって何かが込み上げてきた…言葉が出て来ない…
代わりに大粒の涙がボロっとこぼれる…
「…寧奈!どぉしたの?」
びっくりした椎ちゃんがあたふたと顔の横で手のひらを小刻みに振っている。
「感動しちゃったんだよねー?」
姉のように優しく微笑みながら恵衣子が頭をぽんぽんしてくれる。
「うん。うん。…びっくりした。完成度高すぎだよ椎ちゃん!想いが伝わってきちゃった。えへへ」
涙を拭いながら笑った。