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ファニーキンキー
第7章 それは純白
別に何も変わってない…ひと月前と同じ状況に戻っただけ。また振り出しに戻っただけ。
4時限目の授業が終わった。黒板の文字を写し終え、ぼーっとノートを見つめながらのろのろと片付ける。そんなあたしのところへ椎ちゃんが元気に駆け寄ってきて、
「今日はふたりで外でたべない?ふふっ」
「あれ?恵衣子は?」
「んー、伊井くん達と食べるって言ってたよ?ほら」
伊井と楽しそうにしている恵衣子を指さす。
「そなんだ、じゃあ中庭…は止めて、体育館の外のベンチにしよっか」
「うん。ふふふ」
「購買寄ってすぐ行くから、先に行ってベンチとっといて!」
翔太郎のこと、先に椎ちゃんにだけでも話しとくか…いつまでも引き摺るような事じゃない…気持ちを切り替えていかないと。
購買へと足早に向かい、手早く買い物を済ませ、椎ちゃんの待つ体育館に向かおうとしたその時、あたしの背後から、
「寧奈」
翔太郎に呼び止められる。今までと同じ呼び方、同じ表情。だからあたしも今まで通り。
「ん?ちょっと急いでるだけど…」
「ああ…そうか。なら放課後いいか?」
「ん、わかった。じゃあね」
もう分かってることなんだから、話す必要なんてないのに……