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私と貴方の甘い蜜
第8章 はじまりとはじめて
「……愛ちゃん」
「はい」
「そろそろ降りようか?」
「イヤです」

終わった後、そのまま総一郎さんの上に乗ったままでいた。熱い体温と汗ばんだ肌が心地よい。
ずっとこうしていたくなる。

「んー……ちょっと限界なんだけど」
「……もしかして重いですか?」

しまった。そこを忘れてた!
慌てて起き上がろうとしたら抱き締められた。

「違うから!そういう理由じゃない」
「じゃあ、何でですか?」
「……だって愛ちゃん、終わった後も締め付けてくるから」
「しめつける?」
「無自覚なの?……頭を撫でる度に俺のココを締め付けてくれてるでしょ?」

総一郎さんが指差した場所を見て、顔に熱が集まる。

「……ごめんなさい」
「いや、全然いいんだけど。もっかいしたくなるからね」
「それは大歓迎ですけど」
「はははっ。大好きだもんね、エッチ」
「総一郎さんには何でも見せられるから」

そう言って触れるだけのキスをした。

「ふふっ。」
「ごきげんだね」
「幸せすぎて。総一郎さんは私を嬉しくさせる天才ですね」
「そんな大したことしてないけど」
「大したことあるんですよー」
「はははっ。そうですかー」

意味のない会話が楽しい。
それは私にとって、同姓となら出来るのに、大好きな異性に対してだと途端に出来なくなることだった。
嫌われたくないと思うほど言葉選びに縛られて、出せない感情が増えていく。
そんな私を、総一郎さんは、当たり前のように変えてくれた。

「……いっこ、聞きたいことあるんだけど」
「なんですか?」

幸せをかみしめていると、総一郎さんが真剣な顔で私を見ていた。

「あんな感じの顔が好きなの?」
「え?」
「さっきの元カレ」
「あぁ、佑介くんですか?……そうですね。好きですね。」
「俺、全然タイプ違うんじゃない?」
「そうですね。でも、総一郎さんの顔も好きですよ?」
「ふーん」
「顔も中身も好きですよ」
「……」
「あ、カラダも好きですよ?」
「……すっごい、顔にやけてるけど」
「ごめんなさい。やきもちやかれるのが嬉しくて。」

拗ねた顔の総一郎さんにキスをした。

「総一郎さん」
「なに?」
「……もっかい、したいです」

正直に伝えると、総一郎さんは優しく笑ってキスを返してくれた。
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