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第11章 明日への勇気
『リョウキ、お腹すいてない?
いただこうよ

マナさんのごはん
すっごくおいしいんだよ?』




『あぁ・・・』



アイルが嬉しそうに
お弁当を広げようとする









コンコン…





ドアがノックされ
女医とナースが入って来た


「ちょっと診察させて下さいね~」



『ぁ・・・ハイ』





「じゃ、まず
胸の音きくからね~・・・えーと…」




ナースがアイルの胸元を開けようとしながら
チラリとオレの方をみる




『あぁ・・・はい』



オレは廊下に出て
待ち合いのソファまで歩いた










『?・・・』



自販機の陰・・・壁に

うなだれるようにして

こちらに背を向ける女の人の姿










『マナ・・・さん?』





オレが声をかけても
こちらをみない









『っう…ぅっ…~~なんでアイが…

なんでアイルだけが
こんな目に遭わなきゃなんないのっ…

おかしいよっ
ぅっ・・・そいつも…
アイと同じ目にあわせてやりたい…っ

っ……ぅ・・・ぅっ
そいつ…殺してやりたいよぉ・・・っ!』







声を押し殺して泣くマナさん






包帯や絆創膏だらけのアイルをみて

この人が

同じ女性として…




何より

こんな心優しい人が

平然としてはいられなかったであろう





そしてマナさんの…この涙は

可愛い妹のような
家族同前のアイルを

大切な人を傷つけられた
怒りと悲しみの涙だ





アイルを大切に想う家族は

アイルを大切に想う人たちの
怒りや悲しみは・・・皆同じ

オレはそう思った。






こんな家族といるアイルが


オレには・・・誇らしい













後で聞くことになる話


ここだけの話だが






マナさんは

あの後ソウタさんに話を聞いて



そのまま壊れてしまうのではないか
という程に…取り乱し


泣き叫んで
自分を責め続けたそうだ



あの時…すぐにでも自分が

アイルを探しに行っていれば・・・と

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