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第12章 輝く季節の中で
『これ・・・』


『~…ん?』






『アイルがつけたの?』


『うん。・・・大切なものだから…』






『ぇ…』



『ゃ…。ぇと、なくしたりしたらっ…

大変でしょっ…??』







耳を赤くしてオレに背を向けて
アイルは米を洗い始めた



たまらない…



もっとアイルをこんな顔させたい




ニヤケ顔全開でアイルを後ろから抱く





『ふふん…~〃大切〃なんだ?』



『べ…べつに・・・っ』





本来のアイルらしい

女の子っぽい一面

所々…ひとつひとつに

愛しさを感じる








『じゃ…いってくる。すぐ戻るから』



『…外…暑いから…気をつけて』






『クス・・・あぁ』











買い物を終えて帰ると…アイルの姿がない






ヒヤッとする





『ただい…ま…?・・・アイル?』






トイレか…?




キッチンの方へ行くと
調度死角…テーブルにかくれて



アイルがぺたんと座りこんでいた



両腕で自分を抱え込むように






『アイルっ?・・・どうした!?

…どこか痛いのか・・・?!』





思わず荷物を放り出して駆け寄る



アイルの体が震えていた








『なんも…ないんだけど…急に

わかんない。なんでかな…』




『アイル…』





アイルを抱き寄せて
頭や背中を撫でる




…やはり

簡単にはいかないのだな・・・と

心に少し陰が差す







アイルは、これから先…

まだまだフラッシュバックだとか
こういう…心の傷と
闘っていかなければならない




その現実が待っていると
奇しくもオレは思い知ってしまった







アイルの身体の傷は
本当に綺麗に治った


女の子だし
それはオレも
本当に良かったと思っている



だけど…心の傷と言うのは





治るのに一体どれだけの時を…

或いは一生・・・治らないかもしれないのだ





オレはそんな事を思いながら…


アイルにかける言葉を探した
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