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第15章 託された思い
『リョウキって…兄弟はいるの?』



『兄貴が一人いるよ』





『あは、ソレ初めて聞いた。いいなぁ…
私、一人っ子だから兄弟憧れる』






オレも初耳だった

アイルは一人っ子なんだな




…兄弟、居たらいたでフツーというか
いるからって何ということもないからな

そゆ風に思うんだなぁ、なんて
ただ思ってアイルの話に耳を傾ける





『パパもママも仕事だらけで家にいなくて
まぁ…元々私がジャマだったんだろうけど…

近所に住んでたおじいちゃんだけが
いつも私のこと気にかけてくれて…

私のこと…
すっごく可愛がってくれたんだぁ…』




アイルの話は
時々…こうやってギュッっと
オレの胸を切なくしめつける




アイルから聞く…アイルの生い立ち







『ママ…お母…さんは、動物ニガテで
飼うことも許してくれなくて…
私、家ではホントただのひとりぼっちでね

おじいちゃんが学校帰りとかいつも
家に呼んでくれて…私の友達とか
みんなと遊んでくれて…

本当に、子どもと動物が…
生き物が好きな人でね

親戚も近所の子たちもみーんな…
みんな、おじいちゃんの孫みたいだ~
なんて言われるような人でね……』





『ふふっ…スゲーじいちゃんだな?大所帯』




『ふふふ。…頭が良くて
優しくて…努力家で

情深い、人に好かれてて…

自慢の…大好きなおじいちゃんだった』




アイルが懐かしむように遠くを見直す


少し目を潤ませて




『だけどね…仕事には、すごーく厳しくて
…自分にも本当に厳しいの。真面目で…
曲がったことが大キライで…

どんな仕事も、人の心をもってやりなさい
不誠実なことをするんじゃない
人の痛みを知りなさい…って

そうしたら
この子達の気持ちだってわかるから…って』




『この子たち?』




『ぁ…おじいちゃん獣医師だったの

近所の小~さい病院だけど…
一番弟子の人に言ってる言葉とか…

私いつも聞いてたから
すごく覚えてるんだ』



『アイル…もしかしてそれで…』




『んふ…。ん、キッカケと…影響を
一番にくれた人だね

言葉が通じなくても
動物には必ず心があるから

心の声をしっかりきいてごらん
必ず応えてくれるよ…って』




『・・・』
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