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第15章 託された思い
『いつ…亡くなったんだ?』


『16…私が高1の冬だった
さむ~い真冬の朝にね…パパに…
イキナリ叩きおこされたの

私…まだ何も聞いていないのに
ゾワゾワってこわかった感覚…
今でもハッキリ覚えてる

イヤな予感って…
残酷に当たっちゃうんだね…

おじいちゃんが家で倒れてるって…
お弟子さんから電話があったらしくて

要は
その時はもう…ってことだったんだけど

〃死んじゃった〃って聞かなかったから…
私は、もしかしたら…きっとちがうって…』



アイルの話す事、その切ない表情に
オレの目が熱くなってくる



『焦る気持ちと…なんて言うのかな…
未だにしっくりくる言葉がない…

パパの話を振り切って…
気付いたら飛び出してた

ホント寒さの厳しい年だったのに…
さむさも何も感じなかったんだよね

〃いやだ、いやだ!〃〃ちがう!〃って
走り続けて

病院に運ばれたんだから
きっと治してもらって

もう家に戻ってるんだ
今から会える!

って走って…勝手に
願望を現実に変換してたの

なのに…涙だけ
どんどん出て来て…止まらないの

あの不思議な…
アベコベな感じの経験したの
その時だけだったなぁ・・・』



オレの手が勝手に動いて
アイルの頭を撫でていた




『受け入れたくない
だけど残酷に、現実を自分で
受け入れてたってことかもね…

やっと着いたときには…
おじいちゃんはもう…つめたくて…

…なんにも言ってくれなくて
目を閉じてて

おじいちゃん、愛留だよ…
朝だよ…おきてよ…

患者さんきちゃうよって…
何度呼んでも…起きてくれないの

なのにあたしは…
おじいちゃん、ちょっと疲れてるんだ

少し寝てるだけなんだ
なんて思ってたりね…』



アイルが時折…涙を拭う



『その後は…
あたし悔やむことしかできなかった

もっとこうしてあげれば…
もっとしっかりしてれば…
もっと頑張れば…

もっと…〃ありがとう〃って
〃大好き〃って…伝えてれば…

もっと…あと一日
あと一回…会いたかった…って

あと、もう
たった一回でもいいから…って

〃タラ・レバ〃だらけだった

悲しくて寂しくて…悔しくて…

おじいちゃん…だいぶ高齢だったし
誰でもいずれは…って思うけど

おじいちゃんらしいっていうか…
潔すぎて…突然すぎて…』
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