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第3章 君の十色
『~大丈夫?疲れてない?』


『平気』






『休みの日に…ありがとね今日』



『べつに』





『よかったら、また付き合ってくれないか?

勿論、不都合がなければ』




『・・・。うん』






どさくさに紛れて言ってみるもんだ?



一人でメチャクチャテンション上がるオレ…




カフェを出てアイルを送る



ひとりで帰ると言われたが、そうもいかない
半ば強引に送っていく




なにかあってソウタさんに
大目玉くらったらたまらない





…なんて、口実か










『あの・・・リョウキ…さん』







アイルに名前を呼ばれる




少し…かなりドキッとする





『…〃リョウキ〃で、いーよ』





『…年上の人だし…』





口元がゆるんでしまう




可愛い・・・ほんとにカワイイやつだ




妙に律儀な所、不器用な所



『クス・・・で、どした?』



『ぁ…』



アイルも何か言おうとしたとき
向かいの道の親子連れの犬が飛び出した



『っっ…』




〃?〃



何をしたのだろう

アイルが一瞬、指をくわえるような
素振りをする



犬がピタッと止まる

……犬笛?


アイルの方にやって来た犬…

すぐに抱き上げて頭を撫でて
そのままアイルは親子の所へ行った

…にこやかな顔で


犬を離してしまった女の子にリードを持たせ
持ち方や、しつけ教室のことなんかを
丁寧に説明しているようだった


「おねぇちゃんすごぉい!どうやったのー?
ねぇどぅやったのぉ~?」


女の子が不思議そうにアイルをみて
はしゃいでいた


親子を見送ってアイルはすぐに
オレの方へ戻ってきた



あ~あ…結局〃仕事〃しちゃって…?(笑)






『ごめんなさい』



『いや。…すげーな?

今、どうやったの?…なにしたの?』



女の子と同じ事を聞いていた。素で。



『呼んだだけ。呼んだら来てくれたから
よかった』



にこやかな顔で答える



何者だこいつは?
本気ですごいと思ってしまった



たまにテレビとかでみる
動物と話せるとかああいうのか?





『職人ワザだね』


『~さぁ』


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