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第31章 君の手と僕の手
『りょ・・・・・き
明日…仕事。もう・・・・遅いから』



『着替え持ってきた。朝までいる』




『ぇ……でも』



『ホラ・・・頑張れ。も少し…食べな?
薬のまないと・・・』



『ん…。ごめん…りょおき…』





『ソレ…もう聞きあきた。もうやめろ?

早く良くなって、少し出掛けたり…

息抜きしようぜ・・・?』




『?…。でも…リョウキ、教室とか…』


『試合終わったばっかだしな

少し休むさ。

先輩もそう言ってくれてたから』



『ごめ・・・ぁ…ありがとう…リョウキ』


アイルの目に、うっすらと涙が滲んでいた。



何だかんだ言ったって
心細かったにちがいない。


アイルの手は

いつの間にか

オレの服の裾を

頼りなくキュっと握っていた。




『ん…。もう休みな?』

『ぅ…ん、オヤス・・・ミ』




『オヤスミ』


薬を飲ませると
アイルはすぐに眠ってしまった。











朝、アイルより早く起きて
アイルを起こさないように
そっと耳に体温計をあてる。


……。


39℃はギリギリ切っているけど

油断ならないな・・・。




『……』




・・・・・チュ。




寝ているアイルにそっとキスする。




いっそカゼならな

もらってでも

治してやれるかもしれないのにな…





『ん・・・』





ヤベ・・・・・っ

起こした……?




でも、薬飲ませないと…。



時計を見ながら支度する。
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