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第32章 最高の名前

【棘】





『ところでアイル・・・アナタ

〃今後〃はどうするの・・・？』





『ぇ・・・』








え・・・それは･･･




〃身を固めたら〃って……コトか？








何を言っても

〃ふぅん〃･･･〃へぇ〃

なんてカンジだったお母さんが



急に話し出したのに驚いたのは

きっとオレだけではない。





それこそ



オレの

こういう場のイメージというか

よくあるハナシで聞くような




娘の相手に・・・




〃大学はどこ？〃

とか



〃仕事は？〃

だの




〃年収は？〃


だとか……




質問攻めされるとか



そんなイメージに

多少、身構えてたが

そんなことも一切なかったし






そういう人なのかな…あるいは

他人に興味がない

・・・くらいに思ってたから





突然の問いに…ちょっと

オレはうろたえた。






そして当のアイルは・・・余計に…。








『し…仕事は・・・ずっとやるよ？』



『そう・・・』








『ママ・・・でも私達

べつに今すぐ～って

ワケじゃ…ないの。その・・・』





『そうじゃないわ。

アイル・・・いつまで
カツラギさんの所にお世話になるつもり？

…って、聞いてるのよ』







･･･。




・・・。






それは・・・




どういう･････？






……。







直接聞かれてるのはオレじゃないが

オレは必然的に

一緒になって考え込んでいた。





その少しわかりにくそうな

言葉の真意…

なんとも・・・意味深な。





考え込むオレは…

ふと目にとめたソウタさんの表情が……




つい先程やっと

和やかになっていた

ソウタさんの表情が…




再び強張って

ひきつっているコトに

・・・・・気付いていた。








この女性(ひと)が言ってるのは…？




〃いつまでも

葛城さんに迷惑かけてはダメよ？〃





・・・なんて


謙遜して、諭している？


社交辞令…？





それとも…。



……。




それは…。





それってまさか……。








まさか････････な？