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Best name
第32章 最高の名前
ガシッ・・・。









〃・・・・・?!〃









『ちょっと…っ・・・』



『・・・・・』






オレより一歩先・・・





オレより・・・一秒早く







ソウタさんが歩みより

母親の手を掴み上げて止めていた。







『アヤメさん・・・

もう・・・いいでしょう・・・?』








そして
その手を振りほどくように

アイルの母親を払いのけ
アイルに近づいた



床に倒れ込んだままの・・・アイルに。











『あなたに・・・

アイルを殴る資格なんかない・・・』









小刻みに震え続けるアイルの隣に

ソウタさんがしゃがみ

アイルの殴られた頬を撫でた。






その直後……










『・・・・・産まなきゃよかったわ』










アイルの……母親じゃなかったら

オレは・・・




たとえ女でも

・・・ブン殴っていたかも知れない。







『アヤメさっ・・・』






ソウタさんが振り返り、声をあげる





その瞬間・・・











ビクン・・・っ。







〃……!?〃







アイルが大きくケイレンした。





『ハッ・・・・・~ハァっ・・・ハハっ…ハァ、ハァ』










『アイル!!・・・』


『アイル・・・っ!?』





『・・・・・?』




母親の非情な一言を引き金に


アイルはついに…


ずっと…





もう・・・ずっと

起こしてなかった発作を起こした。






『ごめっ・・・なさっ……ハァっ・・・ハァ』





『アイルっ…いいんだ!

もういいんだっ・・・!!』





ソウタさんがアイルの体を支え
ぎゅっと抱きしめて必死に背中を擦る。



母親は…一瞬だけ驚いたようにも見えたが
顔をしかめ…ただそれを見下ろしていた。



『~~…ハァ…ハァっ…』




『・・・。リョウキ・・・・・水を…』



『・・・・・・はい』






この母親(ひと)

アイルのそういう事も

知らないんだよな・・・。





オレは黙ってキッチンに水を取りに行く。
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