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第32章 最高の名前
【ソウタさんの・・・想い】










『もう・・・やめて下さいアヤメさん。

この子を苦しめるのは…。

お願いですから

もう・・・この子を

アイルを・・・苦しめないで下さい』








オレが戻ると

ソウタさんはゆっくり

アイルの背中をさすりながら

母親に語りかけていた。






『この子は・・・アイルは

もう十分に・・・十分に苦しんで

あがいて・・・

ようやく・・・ここまで来たんです』






そう言いながら

オレを視界にとらえると

ソウタさんは目で合図する。






オレは黙って頷き

アイルの隣にしゃがんだ。






『アイル・・・しっかりしろ。

水・・・・・。

うん・・・大丈夫・・・落ち着いて・・・』





ソウタさんに代わり

アイルの背中をさする。





ブルブルとふるえている

アイルの・・・小さな背中を…。






そして

ソウタさんは

ゆっくり立ち上がると

アイルの母親の方を向き…





真正面から・・・向かい合った。










『アヤメさん・・・

あなたとても優秀な人だ
非の打ち所もない程…。

だけど・・・人間(ひと)として
・・・あまりに滑稽だ。

本当に……気の毒なほどに・・・』









『・・・・・なんですって?』







絞り出すようなソウタさんの言葉に

母親が眉を吊り上げた。
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