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第32章 最高の名前
オレはその場で膝を折り

床に座って手をつき

アイルの母親を見上げる形をとった。






『おか…ぁさ・・・やめて…。

りょうきに

ひどいこと・・・やめ…て』




後方からアイルの声が聞こえた。





ソウタさんに抱えられ

息も絶え絶えのアイル。






『軽蔑ではありません。

尊敬し、感謝しているんです。

あなたにお会いして…それだけは

どうしても伝えたかったんです』






『ふふっ・・・何を言うかと思えば…』







『・・・母親だから。

あなたがアイルの母親だからです…。

僕の…大切な人を産んでくれた

〃お母さん〃だからです・・・』






『・・・』






『感謝しています・・・。
今日ここに来てくれたこと

そしてなによりも
アイルを・・・

こんな素晴らしい女性(ひと)を
この世に産んでくれたことを…。

ありがとうございました…』








オレはそう言って頭を下げた。





『りょぉ…き・・・やめて

もぅ…やめて・・・・・』




後ろからアイルの頼りない声がする。





オレは構わず話を続けた。





頭を上げて母親を見上げる




『…認めて下さい・・・アイルとのこと…。

認めてくれなくても、幸せにします。

必ずアイルを幸せにします。

だから…オレにその〃資格〃を下さい

二人で・・・必ず幸せなります』






『フフっ…なんだかメチャクチャな…

おもしろいコト言う人ね?

~お好きになさいよ・・・』






母親はオレにそう言い

オレから目をそらしてアイルをみた。






『フフ・・・アイル?・・・〃これきり〃ね』






アイルに・・・一言



そしてそのままドアへと進んでいく。
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