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第32章 最高の名前

『どうぞ･････』



お父さんに座ってもらい

慣れない手付きでお茶をいれた。





『すみません・・・今、降りてくると…』





『あぁ・・・いえ

事情は…カツラギさんから

大体聞いておりますから…』





『そう･･････ですか』




『いえ、申し訳ない･･･。

元妻が・・・～それに

本来一度で済むものを・・・』






挨拶が二度に分かれているから

・・・って意味だろうか？






『タキガワさんも…お忙しいでしょうに』



『いえ…とんでもないです。本当に』




『…私共のような親だなんて

まったく恥ずかしい限りです。それを…』




『あの・・・ホント

そんな事…おっしゃらないで下さい

アイルは･･････アイルさんは

お父さんに会えるのを

本当に・・・喜んでたんですよ？』




『…私のような者を、親だなどと

今日は･･･本当に…どうもありがとう

・・・タキガワくん』






丁寧に・・・一礼される





つられてオレも一礼した。






立場も何も関係なく・・・低姿勢な人…。





不要に・・・
ニタニタ笑ったりもしなければ

口数も多くはないが

どこか温厚で･･･

アイルに・・・・・そっくりだ。









そして、ひとつ言えること





この人は・・・お父さんは



アイルに対して



すごく〃負い目〃を感じている…。







だったら何故？・・・と


聞きたい気持ちもあるが






それは、さすがに出来ず。






ただ･･･母親との


あまりの違いぶりに驚いていた。