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第32章 最高の名前

『ママが・・・。

私･･････そんなこと

ちっとも知らなかった。』




『ふふ・・・それは知らないさ。

誰にも･･････弱さを見せない

〃見せられない〃人だったからね。

・・・父さんにもね』





『ぇ・・・』





『だから・・・父さんのせいなんだ』




『どうして？

パパ・・・悪くないじゃない』




『父さんが悪いんだ。

ママを･･･幸せにすると言ったのに

頑張り屋のママに…

ママを止めずに
任せきりにしてしまった

アイルのことも…全て。

せめて父さんが･･･父さん一人くらいが

「疲れた・苦しい」・・・と

ママに言わせてあげれるような…

時には弱音を吐いたり

ママが本音を言える場所に
なってあげていたら…

立派でなくてもいい…
普通で…当たり前で良いんだから、と

ママはとても頑張っているよ、と
ママに言ってあげられていたら

ママはもう少し
ゆっくり･･･向き合いながら

〃お母さん〃に
なれたかもしれないから・・・』





『・・・』





『今回の事も

どこまで本気で言ったのか…

わからないけど…～・・・うん。

少し…〃暴走〃したのかもしれないね…』





『暴走･･････？』





『ママは…仕事柄
決断を求められる事

心を鬼にしなければ
ならないことも多いから

そういう精神が前に出て・・・その

勿論、許されないことだし
誰が見ても間違っているけど

その事が・・・ママにとって
重要であればあるほど

冷静さを欠いて・・・つい

突っ走ってしまったのかもしれない…』






『え・・・それって……』








アイルの・・・

大切な・・・娘の

重大なことだから・・・？




娘の幸せだと・・・信じた道を




それこそ・・・憎まれる覚悟で…。