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囚われの天使たち
第2章 支配
しかし返事はしたものの、奈津子は固まったまま動こうとはしなかった。さすがに服を脱ぐということにはためらいを感じているのだろう。そこで男は新たに問いかけた。
「服を脱ぐのは嫌なのかい」
奈津子は下を向いたまま固まっていて、返事をしようとしない。男はさらに問いかけた。
「特別に殴らないでおいてあげるから、正直に答えてみなさい。服を脱ぐのは嫌なのかい」
すると奈津子は、下を向いたまま、わずかに、本当にごくわずかに、首を縦に動かした。
「そうか。それなら脱がなくてもいい」
と男は言った。その答えを意外に思ったのだろう。奈津子は顔をあげて男の顔を見た。二重の、目尻のちょっと垂れたあどけない眼差しを、男は愛おしく感じる。愛おしいからこそ、嬲りたくなるのだ。その嗜虐的な思いを、男は次の言葉に込めて放った。
「脱がなくてもいい。そのかわり、お仕置きだ」
「お仕置き……? 嫌!」
男は、奈津子の小麦色に焼けた細くてしなやかな腕を思いきり掴んで引っ張った。奈津子は抵抗できずによろめく。
「こっちへ来い」
「嫌! 嫌嫌!」
奈津子は足を突っ張って抵抗するが、所詮は小学4年生の女の子だ。成人の男には、力でも体重でもかなわない。
「嫌だ! 嫌嫌! 許して! 許して!」
奈津子は叫ぶが、男は振り向きもしない。抵抗する奈津子の腕を引っ張って、男は壁際まで連れてきた。
壁には、短い鎖が2本、垂れ下がっていた。そして鎖の先には、小さな鉄の輪が付いている。
このために男は、単なる工場の地下室にすぎないこの薄暗い部屋に、いくつかの用意をしていた。この鉄輪の付いた鎖もその1つだった。
男は握っている奈津子の片腕を、その鉄の輪に無理やり通して、がちゃりと固定した。
「嫌! 離して! 離して! お願い!」
奈津子はむせび泣き、顔中を涙と鼻水まみれにして懇願するが、男はそれを無視した。淡々と作業を続ける。
片腕を固定された奈津子は、もう腕の長さ以上に壁から離れることが出来ない。それでも、無理と分かっているはずなのに、奈津子は腕を引っ張って鎖から逃れようと必死にもがいている。