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Sな彼女
第5章 再会

俺と岬が再会したのは病院で処方箋の受付を待っている時だった。

「おくすり手帳はお持ちですか?」

「……すみません。家に置いてきてしまいました」

「では、ご自宅でシールで貼っておいて下さいね」

また、やってしまった。
国の方針だがで、おくすり手帳を持参すると何割か負担額が軽減する。
そんな事も忘れてしまうなんて……。

俺は月一で神経科の病院に通院している。
アスペルガー症候群の併発でうつ病を患ってしまった。

学生時代はまだマシだった。
高校は通信教育に切り替え、大学は極力人付き合いを避け、興味のある分野の学問に専念すれば良いだけだった。

しかし、会社員となるとそうはいかない。

歓迎会や懇親会という名の飲み会。
相手の表情や空気を読むのが苦手な俺は、いつも理由をつけて断ってばかりいた。
一番厄介なのは、上司や先輩からの指示。
表情や声のトーンから暗に意味していることを理解出来ない。

入社四年目。
気がついたら出来の悪い社員として、人事に何度も呼び出しを受けていた。
クビになるのもそう遠い未来ではない。
そう思っていたら、原因不明の腹痛で二度会社で倒れた。

病院で検査を受けたらストレス性腸炎、及びうつ病と診断された。

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