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淫の館
第10章 木の躾

丁寧に薬を塗っていく弟子は、顔を真っ赤にしていて、一番若そうに見えた。

「あの、貴方のお部屋番号は?」

「56号室です。」

「じゃあ、ゴロウさん?」

「いえ、それだと元の名と被るのでイソロクと呼ばれています。」

男性も、やはり名を捨てなければならない。たまたま同じ名を名乗ることも許されない。

名を奪われ役目を与えられ、支配、いや管理されているのだ。

ん…

「すみませんね、滲みましたか?
でも酷く腫れているので…」

イソロクは赤くなった乳首に薬を塗っていた。

看病に徹しているので、薬指に薬を取り、全くイヤらしさはない。

なのに、打たれて疼いたままの体が勝手に反応して、声が漏れてしまったのだ。

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