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銀木犀の香る寝屋であなたと
第3章 婚姻
「珠子、後ろ向きになってごらん」

「え、あ、はい」

 ネグリジェを羽織ったようなまま、珠子はうつ伏せになった。そして足をそっと開かれる。

「辛くないようにするから、じっとしていなさい」
「わかりました」

 カシャリと蓋が空く音が聞こえると、陰部に生温かいぬるりとしたものが塗られた。

「ひっ」
「心配しなくていいよ。潤滑油だ」

 くちゅくちゅと細い指先で薄い花弁をめくる様に、丁寧にぬめった潤滑剤を重ね塗る。
そして、文弘は自身の一物を同様に潤滑剤で濡らし、しごいて大きくさせた。

「いくよ」
「は、はい」

 亀頭を可憐な花口にあて、ぐぐっと押し入れる。

「ぎっ、ひぃっ」

 珠子は初めて感じる種類の、裂かれる痛みに声をあげる。

「辛いだろうが、もう少し辛抱しておくれ。ゆっくりするから」
「あっ、ぐぅっ、うっ、ふっぅ」

 珠子は目をカッと見開き、どうすることもできずに呻くだけでシーツをしっかりつかみ下唇を噛んだ。しかし文弘が押し進めてくるたびに「くっはぁっ」と息を漏らす。

「珠子は好きな男はいないのか?辛かったらその男のことを考えなさい」

 痛みのさなかで、文弘に投げかけられた言葉は珠子の痛みを軽減させた。(どういう意味かしら……?)

「いいんだよ。僕たちの様な家は皆、他に想い人があっても、こうやって契りを結ばなければならない。不貞は許されないけど、想うのは自由だと思ってるから……」


 少しずつ内部を押し広げられながら、文弘の言葉を聞き、珠子は一樹の言葉を思い出した。



『辛くなったときは今まで一番楽しかったことを思い出すんだ』
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