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片桐家の女たち
第2章 義兄を奪う妹の青い性
 隆一さんは無言で、そんな朱音ちゃんの瞳を唇で拭ってあげてから、キスをして、また愛おしそうに抱きしめ、腰を動かし続けました。
 いつの間にか、朱音ちゃんの名前のような、真っ赤な夕焼けが、窓の外に広がっていました。
 隆一さんは、いつまでも朱音ちゃんを抱きしめていました。いつか、朱音ちゃんの欲望が、この危うい関係を破たんに導くことはわかっていました。
 でも、それでもいい。加奈子にはすまないけれど。そうなるべくしてなるのだから・・・。すべてを捨てて、どこか遠くへ逃げてもいい。
 朱音がいてくれれば、それでいい。少なくとも、今は・・・ふたりきりだ。
 そう言い聞かせながら、朱音ちゃんを抱き起しました。朱音ちゃんのお尻の辺りから、赤く濁ったものが溢れだしました。
 それを見た隆一さんは、また、キスをして「ありがとう、朱音。」って言いました。
 勝気なはずの朱音ちゃんは泣きました。隆一さんの胸に顔を埋めて、いつまでも泣き続けました。
 私にも、朱音ちゃんの気持ちがわかるような気がします。きっと、とてもしあわせだったのでしょう。女は、だれしもが、最愛の人と結ばれることを夢見るものです。
 どんな巡り合わせであろうと・・・。例えば、それが犯した男と犯された女の関係であっても、それが巡り合うべくして無ぐり合う存在なら、性愛に貪欲な女は気づくものなのです。それが自分の失われた半身だということに、きっと、気づくのです。
 ですから、迷うことなく最愛の人に出会うことができた朱音ちゃんはしあわせでした。もちろん、お父様に出会えた私もしあわせです。本当に、そう思っています。

 ですが、しあわせをなくさないよう守る女は、狡猾で身勝手です。ともすれば、それが誰かの人生の歯車を狂わせることにもなりかねません。
 もしかすると片岡家の女たちも、ただ、しあわせになりたかっただけなのかもしれません。
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