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空蝉
第11章 性(さが)の縛り
犯され知った、悦びは 嘘を重ねて 育ちゆく
「憎いケモノに やるより」と 別の男に 抱かれては
満たせぬものに また、別の 男を誘い 終わりなき
罪の世界を 踏み惑う
あの日、ケモノを 押しのけた 腕でおとこ 縋りつき
「忘れさせて」と 叫んでも 忘れぬ肉の 悦びの
なまじ、欠片に 遊ばれて この身は飢えて ゆくばかり
犯され知った 悦びは 犯した肉を 懐かしむ
誰に、この身を 開いても あの悦びは なお遠く
犯した肉に 犯されに 明日、ゆこうと 思いたち
乱れる様を あれこれと 想い、ケモノが 好きそうな
清楚な服を 選んでも はやるこころは 鎮まらず
赤く孕んだ 月の下 なだめるための 指遊び
からだは燃えて ゆくばかり
犯され知った 悦びは わたしを壊し 狂わせる
ケモノの前で 衣脱ぎ 三つ指ついて 希う
「どうぞ、穢して ください」と
「二度と戻れぬ 屈辱と 狂うくらいの 悦びで
堕とし、壊して ください」と
そう言いながら 脚開き 自ら秘所を 弄ぶ
淫らな牝を 嘲笑う 憎いケモノの 目に蕩(とろ)け
わたしは、自我を投げ捨てる
すべてを捨てて 快楽の 深みに堕ちて 溶けてゆく