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空蝉
第30章 縄酔い
あたしは、縄に 弄られる
油の香る 麻縄の 毛羽立ちにさえ 耐えきれず
腰が砕けて 切なくて ため息だけを 繰り返す
あたしの縄は 濡れてゆく
縄の愛撫に 誘われて 赤き花びら 綻べば
秘肉に蜜の 滴りて 淫らの性の 匂いたつ
「あたしに縄を うたないで」 伝える口と 裏腹に
からだは縄に 融け堕ちる
どんな、異国の 酒よりも 子宮のうちを 蕩けさす
あなたの縄が 恋しくて 真似て、この身を 弄っては
あたしは、ひとり 濡れてゆく
責める、あなたの 口癖の 意地悪さえも なつかしむ
縄酔う性に 導いた 酷い男と 恨みつつ
他人に与える このからだ
忘れるほどに 酔わせてと 忘れぬからだ 泣き濡らす