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僕のマミちゃん
第3章 count 5
「ごめんねー、遅くなっちゃった。ね、ね?中学の卒アル見る?クラスの奴らも結構載ってるよ。今度マミちゃんの中学の卒アルも見たいなぁ」
心なしかすっきりしたように見える笑顔で部屋に戻って来た悟くんがクローゼットからアルバムを出して私の隣に座った。
アルバムの中の悟くんは黒い頭髪で今と同じ三日月目で笑ってる。他のクラスメイトよりも背が高く、中学の時に急成長した身長はこの頃にストップしたと言う。
「悟くんってどんな悟くんでも…かっこいい…」
どうやら思ったことが口から滑り出ちゃったらしい。
「マミちゃんは僕のことかっこいいって思ってくれてるの?」
「もちろん…です。悟くんはいつもキラキラして綺麗で、初めて見た笑顔もとても素敵で今も目に焼き付いてる…」
目を閉じればいつでも笑顔の悟くんが浮かび上がる。ひとり想像をしながらうっとりする。
「マミちゃん……嬉しいけど、僕のこと美化しすぎてない?僕は普通の男だよ?もっと生身の僕を見て欲しいな。もっと僕に近づいて。もっと僕を欲しいと思って。もっと僕に我儘になって」
笑顔を落とし、切なげに私を見つめる真剣な雰囲気に飲み込まれた。
今までろくに人と関わらず、最低限の付き合いでやり過ごしてきた私は、自分だけしか見ることのできない妄想の世界で満足していた。憧れとか好きって気持ちだけじゃ、悟くんは足りない?
『もっと生身の僕を見て欲しいな』
人と関係を築いていくのに必要なことなんだろうなって思い始めた。