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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
『華?』

数時間ぶりに聞く俊樹さんの声。

『華?』

返事をしない私をもう一度名前を呼ぶ

「聞こえてるよ…」

『どうかした?』

「…どうもしないよ…」

『そう?声が元気ないみたいだけど?』

少しの変化も見逃さない。

「お酒飲んで…ちょっとボーッとしてるだけだよ」

『その割には息あがってない?』

ごまかしてもごまかせられない。

「急いで自分に部屋に来たから…かな?」

『そう…』

どこか寂しそうな声にキュンとなる。

「俊樹さん…寂しいです…」

正直な気持ちを口にする。
先ほどまで家族の中にいて楽しくて幸せだったのに、俊樹さんの声を聞いた途端に寂しくなった。
今日は俊樹さんの腕の中で眠れないと思うと寂しい。

『私も寂しいよ。華のいない部屋は広くて冷たい感じがしてね…お酒を飲んで紛らわせてるんだよ』

俊樹さんも同じだと思うと嬉しかった。

「早く…会いたいです…」

電話の向こうでフッと微かに笑う音が聞こえた。

『私も会いたい…会って抱きしめたい』
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