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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
せつない声が胸に響く。
帰ってこなければよかったと思ってしまう。
それだけ、私の中での俊樹さんの存在は大きくなっていた。

『明日…』

何かを言いかけて言葉が止まる。

『いや…明後日迎えに行くから…それまで家族の時間を大切にね』

カランと氷の踊る音が聞こえた。

「はい…」

『じゃあ、切るよ…』

「…」

もう少し話していたと思う。
もっと声を聞きたいと…
だけど、電話で何を話して良いのか分からない。
傍にいる時は言葉などいらなかったから。

『おやすみ…』

「…おやすみなさい…」

ツーツーツー
と終わりを告げる音が耳に響いた。
たった5分なのに寂しさだけが心に充満する。
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