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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
「あった、あった。これ…私と華ちゃん、そしててっちゃんとしゅう君」

それは、どこかキャンプにでも行ったときの写真のようだった。
テントの前でしゅう君と言われる男の子と手を繋いでいる私。
私はまだ3歳ぐらい?
覚えていなくても当然かもしれない。

「ごめん…覚えてない…」

「そっか…華ちゃん小さかったからね。私4歳、華ちゃん3歳、てっちゃん10歳、しゅう君8歳って…覚えてなくて当然か…」

そのページの前後には、4人で映っている写真がいっぱいあった。

「家が近くだったからね。良く遊んでたわよね。てっちゃんとしゅう君がふたりの面倒を見てくれて…華はしゅう君のお嫁さんになるんだって、ほっぺにキスしてたし」

お母さんが昔を思い出しながら話してくれた。
一緒にキャンプに行った事、バーベキューしたこと、プールに行った事。
色々話を聞いていると、薄っすらと懐かしい感情が蘇る。
まだ霧がかかっていて鮮明ではないけど、遊ぶのは彩ちゃんとふたりではなかったような気がしてきた。

「ね~…私…そのしゅう君と家出した?」

フト頭をよぎる景色。
少し大きなお兄ちゃんと手を繋いで知らない道を歩く私。
離れるのが嫌だから家出しようって歩いている風景。

「あったわね。しゅう君一家がお父さんの都合で海外に行くことが決まった時に、貴方たちは家出して…子供が行く距離なんてたかが知れてるんだけど…あの時は本当に心配したんだから」

「そうだった…ふたりと別れる時、ものすごく泣いたの覚えてる。」

少しずつ思い出していく幼い頃の記憶。
断片的だけど、私を可愛がってくれた少し大きなお兄ちゃん。
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