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第5章 忘れていた過去

「私も思い出した…目の前でぽちゃんって華ちゃん落ちちゃって、それに気がついたしゅう君が躊躇いもせずに飛び込んだの…私とてっちゃんはオロオロしてお母さんとお父さんのところに行くことしかできなかったのに…」

当時のことを思い出したのか彩ちゃんが自分の体を抱きしめて震えていた。
もし逆の立場だったら、きっと私も恐怖で震える。
私は彩ちゃんを抱きしめた。

「彩ちゃん。大丈夫…私生きてる…生きてここにいるから」

彩ちゃんは何度も頷きなが私にしがみつく。
良い子良い子と頭を撫でると、スリスリ擦り寄ってくる。

「そうそう。それでね。二週間前に、そのしゅう君から連絡があったのよ。仕事で日本いるから行ってもいいですかって。だからね、彩と華がいる明日にしてもらったの。だからいなさいよね」

スリスリしながらお母さんを見たら、大きな溜息をついて部屋を出て行った。
私たちは見つめ合って笑った。

「呆れられちゃったね…華ちゃん。一緒に寝て良い」

「いいよ。久しぶりに一緒に寝よう」

シングルベッドにくっついて寝る。
仰向けになって、胸の上で手を組む。
寝姿まで同じさと良く笑われた。