パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 忘れていた過去

「俊樹さん、スピーカーにしましたよ。お話しましょう」

『彩ちゃんはパワフルだね』

「いえいえ…華ちゃんに変な虫がつかないように身辺調査です！」

「もう彩ちゃんやめてよ。怒るよ」

「怒ってもやめないよ。華ちゃんを幸せにする人じゃないと認めないから」

さっきまでと違って真剣な表情になる。
そして次の瞬間にはいつもの彩ちゃんに戻っていた。

「で？俊樹さんは華ちゃんに会いたいですか？」

『会いたいから電話してるよ。会えない分、電話で我慢してる…会いたくなかったらわざわざ電話なんてしないよ』

ストレートに言葉を紡ぐ。
彩ちゃんの質問が最終的に何を引き出そうとしてるのか分かる。
それは私が知りたい答え。
だけど…

「俊樹さん？彩ちゃんがごめんね」

彩ちゃんの隙をついてスマホを奪い取りスピーカを解除した。
まとわりつく彩ちゃんを静止て廊下にでた。

『本当に仲良しだね』

「うん…色々あってものすごく心配してくれてるの…悪気はないんだ」

『分かってるから…それより声が明るくて安心した。彩ちゃんと一緒だったら怖い夢も見なさそうだね』

「うん。…電話ありがとう…声聞けてうれしかった」

『私も…これで寝れそうだよ…』

「…」

『…』

お互いにバイバイと言うのをためらう。

『じゃあ…また…』

先に俊樹さんが切り出した。

「うん…おやすみなさい」

『おやすみ』

ツーツーツーと通話が切れた。