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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
少しの間廊下でスマホを見つめ、部屋に戻ると少し怒った彩ちゃんがいた。

「もうちょっとで俊樹さんの気持ち聞きだせたのに」

やっぱりそういう魂胆だったのかと項垂れる。
私の事になると超がつくほど過保護になる彩ちゃん。
だけどこればっかりは自分の力でどうにかしたい。
それが第一歩だから…

「彩ちゃんの気持ちはうれしいよ。だけど自分で好きって伝えるって決めたの。だからごめんね」

私がそう告げると、彩ちゃんは嬉しそうな表情を見せる。

「そっか…余計な事だったね。ごめん」

「ううん…いつも気にかけてくれてありがとう…さて寝ようか。明日はなんか大変そうだし」

「だね。しゅう君来るしね。焼けぼっくりに火がついたりして」

「それはないです…もう寝るよ。おやすみ」

これ以上話してたらからかわれると思った私は部屋の電気を消して強制的に眠る環境を作った。
繋いだ手からは俊樹さんとは違った温かさと安心感が伝わる。
ずっと私を安心させてくれた手を離す時が来たのかもしれないと心のどこかで思っていた。
身体は離れ離れでもいつも寄り添っていてくれた彩ちゃんから心も離れる時なんだって…

「…幸せになってね…華ちゃ…ん」

顔を横に向けて彩ちゃんを見てみると、規則正しい寝息だった。
今の言葉は寝言…
早く安心させてあげたい。
私は大丈夫なのだと…だから俊樹さん私の思いを受け止めてください。
そう思いながら私も眠りについた。
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