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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去

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自然といつもの時間に目が覚めた。
横を見てみると、彩ちゃんはまだ夢の中だった。
いつも一人で家事に育児に頑張ってると思うと、もう少し寝かせておいてあげようと思い、そっとベッドを抜け出した。
居間ではお母さんが裕ちゃんをあやしていた。

「おはよう…みんなはまだ寝てるの?」

「早いわね…男性ふたりは起きる気ないわね…彩は?」

「彩ちゃんも起きる気配ないね…向こうで一人で頑張ってるからたまにはゆっくりさせたいなと思って…裕ちゃんが私に懐いてくれるといいけど…」

裕ちゃんは昨日と同じで、ちらりと私の方を向くけど直ぐに顔を背けてしまう。
まだ恥ずかしいのだろう。

「強制的に抱けば良いのよ。ほらっ」

心の準備もないのに、お母さんが裕ちゃんを私に手渡した。
私の手の中にすっぽり収まる裕ちゃん。
ニコニコしていた顔が一瞬にして歪む。

「お母さん…無理…裕ちゃん泣いちゃう」

動揺してお母さんに渡そうとしてもお母さんは知らん顔。

「しっかりと抱いてあやしなさい…きっと大丈夫。」

お母さんの大丈夫は魔法だ。
大丈夫だと言われれば大丈夫な気がしてくる。
恐る恐る抱きなおして身体を揺すってあやしだすと、不思議な顔で私を見始めた。
小さい手が私の頬に触れる。
ペタペタと顔中を触り、にっこりと微笑んだ。
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