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第5章 忘れていた過去

「あっ…華ちゃん、おはよ…」

起きてきた彩ちゃんが声を掛けてストンと座ってボーっとする。
私と違って寝起きが悪い彩ちゃん。
覚醒まであと数分必要。
それからお父さんとお義兄さんも起きてきて一緒に朝ご飯を食べて午前中は何をするでもなく時間だけが過ぎていった。
田舎の時間の流れは都会と違ってノンビリで急かされることはない。
笑い声と怒鳴り声が混じりながら今日も平和に過ぎていった。

―――ピンポーン

お昼を食べてみんなでくつろいでいると家のチャイムが鳴る。
時計を見ると13時
しゅう君が来訪する時間だった。
私と彩ちゃんはどこかソワソワして落ち着かない。
お母さんはニコニコしながら玄関に向かった。
ガラガラとドアが開く音が聞こえる。
それと同時にしゅう君らしい人とお母さんの会話が聞こえた。
何を話しているかまでは分からない。
たぶん、『久しぶりね』『大きくなったわね』とか話しているに違いない。

「華ちゃん…緊張してきた…めっちゃかっこよかったらどうしよ～」

「いやいや…彩ちゃん人妻でしょ？」

「え～。それとこれとは別でしょう？」

お義兄さんは私たちの会話を聞きなが苦笑する。
他の男の話をしても嫌な顔はしていなかった。
徐々にお母さんたちの話し声が大きくなる。
どんどん近づいてくるしゅう君
いったい彼はどんな大人に成長してるのか…彩ちゃんではないけど緊張してきた。