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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
「きっ…聞きたいことがあります…」
聞くのは怖い。
だけど聞かないと何も始まらないし…終わらない。
一瞬、俊樹さんの目が細まり、私を優しく包み込んだ。
「そのことは…明日話すよ…華が聞きたいこと全部教える…だから…今日は何も聞かないで?」
先に先手を打たれる。
そんな弱々しい言葉で言われたら何も言えない、聞けない。
ただ頷くしかない。
頷くと、良い子良い子と頭を撫で、ただ私を抱きてくれた。
抱きしめ合ってると遠くで人の声が聞こえた。
数人の男女がお祭りを抜け出して人気のない方へ移動してきたようだった。
徐々に大きくなる声にドキドキして俊樹さんから身体を離そうとしたけど、強い力で阻止された。
「今、立ち上がったらかち合うからこのまま」
それから数秒後、聞こえてきていた声はぴたりと止まった。
そして…
「失礼しました…」
小さい声で女性の声がしたと思ったら、急ぐかのように足音が遠ざかっていった。
「学生みたいだったね…私たちを見て驚いて逃げていったよ」
身体を離し、俊樹さんは立ち上がり私の手を引いて立たせてくれた。
そして指と指を絡ませ、歩き出した。
もう帰るのかと思うと寂しい。
もっと一緒にいたいのにと思いながら、何も言えなかった。
何も話さない暗闇は私を孤独にする。
傍に愛しい人がいても遠い気がした。
聞くのは怖い。
だけど聞かないと何も始まらないし…終わらない。
一瞬、俊樹さんの目が細まり、私を優しく包み込んだ。
「そのことは…明日話すよ…華が聞きたいこと全部教える…だから…今日は何も聞かないで?」
先に先手を打たれる。
そんな弱々しい言葉で言われたら何も言えない、聞けない。
ただ頷くしかない。
頷くと、良い子良い子と頭を撫で、ただ私を抱きてくれた。
抱きしめ合ってると遠くで人の声が聞こえた。
数人の男女がお祭りを抜け出して人気のない方へ移動してきたようだった。
徐々に大きくなる声にドキドキして俊樹さんから身体を離そうとしたけど、強い力で阻止された。
「今、立ち上がったらかち合うからこのまま」
それから数秒後、聞こえてきていた声はぴたりと止まった。
そして…
「失礼しました…」
小さい声で女性の声がしたと思ったら、急ぐかのように足音が遠ざかっていった。
「学生みたいだったね…私たちを見て驚いて逃げていったよ」
身体を離し、俊樹さんは立ち上がり私の手を引いて立たせてくれた。
そして指と指を絡ませ、歩き出した。
もう帰るのかと思うと寂しい。
もっと一緒にいたいのにと思いながら、何も言えなかった。
何も話さない暗闇は私を孤独にする。
傍に愛しい人がいても遠い気がした。