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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
「華…明日、駅で待ってるから…華が来るまで何時間でも待つから…」

私の不安が伝染してしまったのか、俊樹さんも不安そうに念を押してきた。
行かないと言う選択肢はない。

「時間通りに行くから…旅行…楽しみましょうね」

明るく言葉にする。
簡単に私の想いを感じ取ってくれる俊樹さんが、今の私の闇に気がつかないはずがない。
だから、私は笑うことにする。
暗い気持ちになるのは明日になってからでいい。

「今日は駅前に泊まるんだったよね。」

「駅前のホテルを予約してるよ。11時に待ってるから…」

ギュッと握られる手に俊樹さんの不安を感じ取った。
私の想いをすぐに感じ取ってくれるように、私も感じ取れればいいのにと願う。
歩いて帰っていると玄関先にお母さんが裕ちゃんをあやしていた。
横で繋がれていた手が後ろに移動する。
お母さんにばれないように繋いだままだった。

「ただいま」

「早いのね……彩たちは?」

一緒ではない彩たちに気がついて不思議そうに聞いた。

「ちょっと気分が悪くなって早く帰って来ちゃった」

「大丈夫?」

慌てたお母さんが私を気遣う。
本当は気分が悪いわけじゃないから申し訳なくなる。

「うん。少し疲れただけだから…部屋に戻って少し休むね」
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