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遠い日の約束。
第5章 忘れていた過去
『ごめん…泊まったら…華に触れたくなる。抱きしめて眠りたくなる…だけどそれはできないから…ご両親のいる家では抱きしめる事ができないから…同じ家にいるのに抱きしめられないのなら一人の方がいいと思って…』

はにかんだ顔が脳裏に浮かぶ。
そして、俊樹さんの言葉に心が少し和らぐ。

「それ…分かります…きっと俊樹さんの布団に潜り込みそう…」

『それはそれでうれしいけど…けじめはね。必要だから…今日、抱きしめてあげられない分、明日抱きしめてあげるよ。だから不安にならないで。』

「…ごめんなさい・・・」

ただ私が不安になっていただけ。
俊樹さんは何も悪くない。

『勝手に帰った私にも責任あるから…今日はゆっくり身体休めて…明日は元気な華に会いたいから』

「うん…声聞けてよかった…」

『私の方こそ、声聞けてよかったよ。』

「じゃあ、明日…11時に駅で」

『待ってるから…』

最後の待ってると念を押されて通話が終わった。
不安になる要素なんて一つもない。
抱きしめられてキスをして幸せな時間だった。
幸せな時間が続くほど…怖くなった。
この時間が終わってしまうことへの恐怖が私を不安にさせた。
私の思いを受け止めてくれる、大丈夫と思う反面、もしも受け止めてくれず今の関係が壊れてしまったらと見えない未来に不安だけが大きくなった。
ただそれだけ…
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