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遠い日の約束。
第6章 伝えたい想い
だけど唇が重なることはない。
俊樹さんの手によって私は抱きしめられ、またしても次に進むことを拒まれた。

「とりあえず…上がろうか」

その一言に体中を駆け巡っていた熱は急激に冷めていく。
ここにきて…あれだけの激しいキスをお互い求めても最後の一線を越えることがないのかと思うと私の心は壊れそうになる。

「…どうしてっ…」

俊樹さんの腕の中で涙が零れだす。
こんなに好きなのに。
こんなに愛しているのに。
こんなに激しいキスをしてくれるのに…

「どうしてっ…」

私を抱いてくれないの・・・

最後の想いは言葉にはならない。
俊樹さんの手が私の髪の毛を優しく撫でながら垂れ下がっている髪を耳にかける。

「上がろう…このままじゃ、のぼせてしまうから」

優しく耳元で囁かれても、私はイヤイヤと頭を横に振ってわがままを言う。
これが最後なら、一秒でも長く俊樹さんの腕に抱かれていたかった。
この露天風呂から出たら全てが終わりそうで怖かった。

「しょうがないね」

フッーと溜息を吐き髪の毛にチュッとキスが落とされた。
何に対しての溜息なのかと惑っていると、フワッと身体が宙に浮き慌てて俊樹さんの首に腕を回した。
私は俊樹さんに抱かれたまま露天風呂から上げられ、近くにあるウッドチェアーに座らされた。
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