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遠い日の約束。
第6章 伝えたい想い
「ンン…」

俊樹が私の身体を引き寄せ抱きしめた。
起きたのかと思ったけど無意識の行動らくし、目を覚ますことはなかった。
少し身体をずらして時計を見てみると5時になろうとしていた。
50分もすればお迎えが来るはずだったと思い出す。
汗をかいた身体を温泉で癒したいと思い俊樹を起こすことにした。

「俊樹…?」

さん付けはいらないと言われたから呼び捨てで呼んでみる。
一瞬、眉間に皺を寄せるが起きる気配はしない。

「ねぇ…起きて…」

身体を揺すって起こすと、漸く重たい瞼が開いた。
まだ寝ぼけているのか、私を引き寄せまた抱きしめた。

「5時になるからお風呂入ろう?」

「5時…?」

かすれた声で、ぼんやりと聞いていくる。

「50分に迎えが来るんだよね?」

その言葉に「あ~…」と思い出したかのように呟いて、また私をギュッと抱きしめた。

「ごはんいらない…」

「えっ…俊樹???」

具合が悪いのかと心配する私に俊樹は甘えた声で駄々をこねる。

「華と離れたくない…抱き合っていたいから…ごはんいらない…」

「もう…せっかく来たんだから堪能しようよ…」

「やだ…せっかく手に入ったのに手放したくない」

「やだって…」

あまりの駄々の捏ねように失笑してしまう。
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