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遠い日の約束。
第6章 伝えたい想い
少し怒った顔をして見上げてみると、いつもの穏やかな瞳が私に向いていた。
その瞳を見た途端に、それはどうでもよくなった。
いつも優しい彼が、私に甘えるのもたまにはいいのかもしれないと思う。

「ほらっ。腕を回して」

身体を起こした俊樹が私を抱き起そうとする。

「いいよ…自分で行くよ」

「ダメ…離さないって言ったよね」

少し強めの口調で言われ、小さく「はい」と答えて俊樹の首に腕を回して軽々と抱きかかえられた。
そしてそのまま露天風呂に行き、ザバンッとふたり一緒につかった。
少しヌルヌルとしたお湯が美肌効果に良いらしく温度も丁度よかった。
お湯に浸かっている間も俊樹の腕の中で抱きしめられ、本当に離してくれなかった。
それも嫌ではなないのだけど…この変わりようは何なのか…身体の向きを少し変えて俊樹を見上げた。

「どうしたの?私は逃げないよ?ずっと傍にいるよ?」

そう告げると、一瞬にして泣きそうな顔になる。
何か変な事でも言ってしまったのかと私の方が不安になった。
俊樹の手が私の頭に添えられて、彼の胸に引きつけられる。

「ありがとう…色々と話さないといけないことがあったね…夕食がすんでから、ゆっくり話そうか…華が聞きたかったことも全部話すよ」
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