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遠い日の約束。
第6章 伝えたい想い
「華ってゆかた着れる?」

戻ってきた気配を察したのか、振り向きもしないで聞いてくる。
俊樹はいつの間にかゆかたを羽織っていた。

「一応は…」

「だったら、こっち着て食事に行こう?」

そこでやっと私の方を振り向いて、おいでおいでと手招きをする。
俊樹が見ていたのは数枚のゆかただった。
旅館にあるようなゆかたではなく、普通のかわらいい浴衣が用意されていた。
その中から俊樹さんが一枚を取り出した。

「これなんか華に似合いそうだけど…嫌い?」

モノトーンで変わり縞に桜つなぎ模様が入った、古典的なゆかただった。
渋いのを選ぶんだなと思いながらも、とても懐かしい気持ちになった。

「なんか懐かしい…」

そう呟くと俊樹は嬉しそうに笑う。
モノトーンだからと帯は明るい朱色を選んだ。
その横には男性のゆかたも用意されており、同じ柄を見つけた。

「ペアルック…恥ずかしい?」

同じゆかたを手にして聞いた。

「一緒は良いね。着せてくれる?」

「うん…先に自分の着てくるね」
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