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遠い日の約束。
第2章 動き出し運命
隙を見せないように毅然とはっきりと言葉にすると、とても寂しそうに笑った。
一緒に帰れないと分かった春馬の手がそっと私の手と重なり、人差し指で手の甲を擦る。
これは春馬が寂しい時にする癖。
ちらりと顔を見れば捨てられた子犬のような瞳で私を見ていた。
その瞳に私は弱い。
分かっていて、その瞳で私を見る。

「遅くなりますから行きましょうか」

ふたりの時間を割くように、伝票をもって一人先に行く。
その後ろ姿を寂しそうと思ったのはなんでだろう。
これから愛のないSEXを強要される男に思った自分が不思議だった。

「華…あいつと帰るのか?」

「同じ方向だからしょうがないよ…一緒に帰ったらばれちゃうよ」

子供をあやすように言えば、春馬は渋々だけど諦めてくれた。
私と立花さんが何かあるとは思っていない。
彼がそんな男だと思ってもいないのだろう。
これからのことは春馬は知らないで良い事だから、秘密でいい。
もちろん気乗りはしないが座敷をでてレジに行けば、支払いはすませてありタクシーが2台呼ばれていた。

「では三宅さん。また来週よろしくお願いします」

軽く会釈をして、私の背中に手を回してタクシーに乗せ出発した。
車の中で振り返れば、春馬が寂しそうな瞳で見続けていた。
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