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遠い日の約束。
第2章 動き出し運命
─…
──…
───…
───…ピンポーン
インターホンの音が部屋に鳴り響いていた。
明るかった部屋が、いつの間にか真っ暗になっていたのに気がつかない。
出る気力も体力もなく、呆然と玄関先に座り込み訪問客が帰るのをただ待つことにした。
ドアの向こうの気配は中々帰ろうとしない。
といって、もう一度、インターホンを鳴らす事もなかった。
私は、壁に頭をつけて目を瞑って悲しみに耐えていた。
カチャッとドアノブが回る音がした。
そして、鍵がかかっていないドアは簡単に開き、廊下の明かりが部屋の中に入り逆光でまぶしかった。
そのドアを開けたのが誰なのか…声を聞くまで分からなかった。
「華?」
玄関先で崩れ落ちている私を見て驚いたのか、慌てているのが声でも分かる。
そして自分が着ていたコートを私に掛けてくれた。
「何があった?…華?」
手が私の頬に触れ、そっと涙を拭いた。
その瞬間におさまっていた涙がまた流れ出し、抑えられない嗚咽が部屋中に響き渡った。
いきなり泣き出した私を彼は…立花さんは何も言わず抱きしめてくれた。
彼に包まれて、安心したのか誰かに縋りたいだけだったのか、抱きしめられた瞬間に子供のように声を出して泣いた。
何も言わずに抱きしめて背中を擦ってくれる彼に救われた。
時間が立てば、大泣きしていた私も少し落ち着き始める。
「中に入ってもいいかな?華も寒いでしょ?」
エアコンがついていても玄関先は寒かった。