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遠い日の約束。
第2章 動き出し運命

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カーテンも閉めてない窓からまぶしい光が部屋の中に入り込んできた。
その眩しさで目を覚ました私は、人の温もりを感じホッとした。
だけど、それが春馬ではないことが分かるとまた悲しみが込み上げてくる。
それでも一度も起きることなく朝を迎えることができたのはきっと彼のお陰なのだと、少し身体を離して立花さんを見上げた。
私を抱きしめたまま眠っている立花さん。
人の顔をまじまじと見ることはなく、今、初めて立花さんの顔を見つめた。
もともと端正な顔立ちで、怒ることがなさそうな優しい表情で人気を博している立花さんの寝顔は、眠っていても崩れることなく優しい寝顔だった。
知らず知らずのうちに手が伸び、頬に触れる。
触れた場所に熱が集まり、心まで熱くなる。
触れた手で唇をなぞり、また頬に触れた。
その動きで、立花さんの瞼がゆっくりと上がり瞳と瞳がぶつかる。

「寝れた?」

いつもより少し低い声で囁かれ静かに頷いた。
触れた手をどうすることもできずにそのままにしていると、その手に立花さんの手が重なる。
そして、触れるだけのキス…

「泣かないためのおまじない」

冗談ではなく真剣な瞳をして言うものだから、本当におまじないに思えてしまい、寂しくて泣かなくて済むようにもっとおまじないが欲しくなる。
それを感じ取ってくれたのか、またそっとキスをする。
啄むようなキスを何度も繰り返し、次第に深く交わる。
昨日、あれほど春馬と愛し合い涙が枯れるまで泣いたのに、今は立花さんとのキスに没頭する私は薄情なのだろうか…。
こんなにも節操のない女だったのだろうかと自分が分からなくなる。
それ程に、私は立花さんを求めた。
春馬を忘れるためだけに…
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