この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第1章 夏の華
暁の身体は、草地の傾斜に転がり、落葉松の大木の幹で止まる。
月城が素早くジークフリートから降り、暁に駆け寄る。
抱き起こし、声をかける。
「暁様!暁様!」
暁は瞼を閉じたまま反応しない。
月城の声が切羽詰まってくる。
「暁様!しっかりなさってください!」
月城が暁の頬を擦る。

「…くすぐったい…」
暁がぼそりと呟き、ゆっくりと瞼を開けた。
月城が大きく息を吐き、胸を撫で下ろす。
「暁様…!」
つんと唇を尖らせ、起き上がる。
「言っただろう?僕は落馬は得意なんだ」
「脅かさないでください。…心臓が止まるかと思いました!」
「僕の話をちゃんと聞かないからだ。またそんな態度を取るなら、何回でも落馬してやるからな」
ふくれっ面の暁を月城は堪らずに抱きしめた。
「やめてください。…私を殺す気ですか?」
そして、今一度強く抱きしめる。
「…すみません…。私は…嫉妬したのです。大紋様に…」
「…月城…」
抱きしめたまま、苦し気に呟く。
「貴方と大紋様は、憎しみあってお別れになった訳ではない。…いや、お互いが愛し合っているのに、別れざるを得なくて別れた…。…少しでも状況が違えば、貴方と大紋様はまだ恋人同士だったはずです。…それを考えると…いつも胸が苦しくなるのです…」
「…月城…」
暁はゆっくりと月城の腕の中から、彼を見上げた。
そうして、華奢な手で、男の彫像のような貌の造形をなぞる。
…こんなに美しい貌をして…どうやったらそんな自信なげな言葉が出てくるんだ…。

「…月城、僕が春馬さんと別れたのは運命だと思っている。…運命には逆らえない」
「…暁様…」
暁は優しく微笑った。
「…君と出会ったのも運命だと思っている。…そして、僕は君が運命の恋人だと思っている。…それだけじゃ足りない…?」
月城の眼鏡の奥の怜悧な眼差しに何とも言えない切な気な色が浮かんだ。
「…いいえ。…いいえ、暁様」
暁は、男の美しい貌に触れ自分からくちづけをした。
「…愛しているよ、月城…。僕には君だけだ…」
静かなくちづけはすぐに男により、濃厚なくちづけにとって変えられる。
暁の柔らかな唇も、薄い舌も、天鵞絨のような口内も全てを食い尽くすような激しく甘美なくちづけ…。

「…愛しています…!暁様!」
くちづけの合間に、狂おしく囁く。
暁は眩暈がする様な濃密なくちづけに酔いしれた。


/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ